医師としての資質

もう20年以上も前の話になります。

詳細な病名は失念しましたが、HLA型が適合したとのことで、知人のAさんの息子さんが娘さんから骨髄の提供を受ける、つまり兄弟間での骨髄移植をされ、今も健常でいらっしゃいます。

その後Aさんは「骨髄バンクを広く認知してもらうための任意団体」(以降「任意団体」と略)を設立されて以降、患者会としての要素も含みつつ広くバンクの普及啓発活動を推進されています。

私が血液疾患であることはAさんもご存知のことで、過日もスーパーでばったり出会った際に「その後、具合はどうですか?」と会話が始まったところです。

その任意団体では、講演会の開催等の啓発活動、バンクや行政、医療機関も巻き込む形で携わっていらっしゃいました。

また、患者の声を聞き不安を和らげることも活動の主軸に据え、地域における中枢病院の医師らとの連携を重ねつつ活動をする中で、見えてくるのは「医師としての資質」なのだと強調されていました。

「患者の声にどれだけ耳を傾げることが出来るかということです」

そうおっしゃるもので、ついつい私は「主治医は治療開始=移植と云われます」とAさんに話をしたところ、顔を曇らせつつ「化学療法が進捗する中で、移植は最終手段です」と。

主治医。

親身になって話を聞いてくれるのかといえば、クランケの意向は聞き置き、移植専門医として「治療開始=移植」ありきのスタンス。

予後は極めて悪いという話しか聞こえてこない中、私としては不安払拭というよりもむしろ増幅。この病気になった以上はそうした心構えをせよ、ということなのかもしれませんが、心穏やかではありません。

以下、今夏お邪魔したMDSフォーラム主宰 東京血液疾患診療所において、MDS患者から聞き取り集約された問題意識を開披しておきますと、

・移植しないと5-10年しか生きられないと言われ移植したが、すぐに再発し1年も生きられないらしい。

・移植1ヶ月後には、当大学でも5本の指にはいる成功例ですと言われたが、2-3ヶ月後に再発したら顔もみない。GVHDで目も開けられず、肺炎を繰り返している。

・前処置で大量の抗癌剤を投与され、苦しくて中止したい。死んだほうがましだ。

・再発したら退院を迫られた。

・再発後、一時退院したら再入院を拒否された。

引用: http://www.mds-researcher.club/

しかしそうした中で、私としても安易に短時間勤務に軸足を移していいものか等、不安感を言い出せばきりがありません。フルタイムでこのまま働き、有事には病気休暇の取得としたほうが得策なのか、とか。

いや そうではなく、治療開始とならないために自ら予防線をひくことが重要と構えるべきなのか。負担感を軽減することにより治療開始を遅らすことが出来る保証など何もないわけですが、少なくとも日々のストレスは軽減出来るということでしょう。

Aさんとは立ち話だったものですから早々に失礼しましたが、「次回イベントがある時にお誘いしますね」とのことでした。

住所地における中枢病院の血液内科医の面々については、患者側の視点というフィルタを通してだいたいのところはAさんはご存知の様子でした。転院もしくはセカンドオピニオンに関して、一度相談に伺ったほうがよいのかもしれません。

2017/12経過観察 骨髄異形成症候群 (myelodysplastic syndromes:MDS)

2017年最後の経過観察になってしまいました、早いものです。

先月の主治医とのやりとりの中では、12月は米国での学会に出席とのことでした。今日は帰国後最初の診察日とのこと、長い待ち合いとなりました。

米国での学会においては、前述のCAR-Tに関する論述が大多数を占めたようで、MDSにまつわる新たな考察等は残念ながら出されなかったとのことです。

CAR-Tの考え方はMDSにはあまり馴染まないようで、「他の白血病患者等の場合であって、必要に迫られた場合、流れ作業的との批判もあるもののchinaを紹介することもある」とのこと。

その国は……私見ですけれども、食への信頼感をはじめ、治療に専念できる環境下にあるとは到底思えません。しかし、昨今はそうした流れにあるようで、一縷の望みをかけて治療に立ち向かうかたが現にいらっしゃるとのことでした。

さて経過観察の話に戻しますが、恒例の骨髄穿刺(マルク)の話が出てきました「来年2月にしましょう」とのこと。この話も寒いっちゃあ寒いんですけど、こればっかりはしょうがないです、あぁ寒い。

明るい話題としては、本日も血球値、Blast値、WT1mRNA値とも安定していたというところでしょうか。

そしてそして、来月の検査結果も踏まえつつ、今次で短時間勤務とするか否かの判断をすることにします。

う~ん、悩ましい……

再考察「短時間勤務」

20171214worklifebalance

生業(なりわい)の話です。

我が社は創業1871年、典型的な上意下達でガチガチに頭の硬い会社ですが、社員のワークライフバランスに関して気遣いがあります。

それは、以前にもここで備忘録しましたが、「短時間勤務制度」が確立されているということです。

世に云う「働き方改革」を我が社においても推進し始めたというべきでしょうか、社員として負うべき義務や既得の権利はそのままに、就労負荷の少ないポジションに移行できるというものです。

条件としては以下のとおり、

○ 本人希望に基づくものであること

○ 満55歳以上であること(理由如何で50歳以上という例外もあり)

○ 1日8時間 4週間で10日勤務

ということで、自分も55歳となりいよいよ当該年齢に達してきました。

本来は4週間で20日勤務すべきところを半分の10日間でよろしい、ただし適用される給与表は4段階ダウンの上で、その半分を支給しましょうと。

年収トータルで見ると現状のおよそ1/3程度でしょうか、大幅ダウンとなるものの、28日間で10日の就労ということですから、自らの身体と向き合いつつ、プライベートに軸足を置いた生活に転換する、ということになります。

昨春、思いも寄らず”MDS”との病名を授かりました。こうして自問自答を繰り返す中で今後、家庭経済の縮小という新たな課題と向き合うことになるのでしょうが、私も妻も本制度に対する印象は決して悪くはありません。

制度の作り込みの性質上、毎年1月末までに考え方をまとめ意思表示しなければならないため、今月来月の検査結果を踏まえつつ今次、結論を得たいと思います。

CAR-T 免疫細胞療法

今朝の新聞、ごらんになりました?
「血液のがん、7~9割に効果「CAR-T」免疫細胞療法」の文字が躍っていました。

がん細胞をキラーする役割を持つのは専ら「NK細胞」と、当ブログにおいても備忘録してきたところですが、今回の話題は8月にも備忘録している「T細胞」のこと。

残念なことに、NK細胞というのは培養が困難らしく、それが出来ていればノーベル賞ものなのでしょうが、T細胞については、がん細胞として認識して攻撃する対象がごく一部に限られている脇役タイプのようで、NK細胞のように隣のがん細胞も攻撃するようなマルチではないのだと。

そこで、(1) 患者のT細胞を取り出し、(2) T細胞の遺伝子改変をして培養しCAR-T細胞を作製、(3) 患者に点滴で投与、ということのようです。がんを見つけるセンサーに「キメラ抗原受容体(CAR)」を使うタイプはT細胞と組み合わせて「CAR―T細胞療法」と。

点滴は1回で済み、治らなかった患者の8割がほぼ治ったということのようですが、価格はなんと5千万円(驚)。「8割がほぼ治った」ということですから、もはや脇役の仕事ではありません。

しかし、遺伝子改変情報を組み込んだ細胞が体内に残るということは、正常細胞(B細胞ですね)への攻撃も続くので副作用について心配なところですが、記事中には「B細胞が分泌する物質を点滴で補充する必要がある」とのこと。過剰な免疫反応による発熱や呼吸不全等の副作用が伴うようです。

問題はやはり価格、なぜこんなに高いのかというと、患者自身の細胞を使うため大量生産によるコスト削減が難しいようです。

高いもうひとつの理由は「特許」だそうで、また出ました「特許」という言葉。製薬会社ノバルティスは権利者に対し相当の使用料を支払っているとのこと。

日本では京大iPSにおいて、iPS細胞の技術を用いて、がん細胞を攻撃するT細胞を大量生産するため研究されていると、本年8/26にここで備忘録したとおりで。

繰り返しになりますけれど今一度、山中教授の言葉を用いておきます。
「京都大学という公的機関がそうした特許を持つことの有用性は計り知れないと思います iPS細胞技術を病に苦しむ患者のために役立てたい」

教授のこの言葉が心のよりどころです。何度も何度も同じことを書いてごめんなさいー。